銀座でチョコを飲んで幽霊になった

今日は松屋銀座にバレンタインのチョコを買いにいった。初めてこういう催事に行ったけど、そこまで大目玉なイベントじゃないのか、熱量がそこまで高くない空間で居心地は悪くなかった。目当ては「蕪木」のショコラショーと限定のチョコレートで、どのくらい並ぶとか、在庫状況とか全く分からず行ったけれど、3人まちくらいですんなり座れた。特設のバーコーナーだから若干のハリボテ感はあるけれど、調理器具や机はステンレスでピカピカしてて、その奥にでん、とエスプレッソマシンがある。スタッフ3名はみんな無駄なくテキパキしていて、素早くグラスを置くのにまったく音がしない。私にはこういう隙のない動作は1分でもすることができないので、ショーをみているような気持ちになりながら待つ。お客さんも誰も焦ってなかったのが良い雰囲気だったのかもしれない。こういう清潔すぎる空間にくると、辛くなる時もあれば今日みたいに嬉しくなることもある。飲み物1杯くらいだったらわたしでもミスをせずその雰囲気の一部になれるからかもしれない。

ベーシックなショコラショーとか、フランボワーズのドリンクが限定商品だったけど、やっぱりコーヒーも飲みたくて、「ビチェリン」というエスプレッソとチョコのドリンクにした。苦いのかなと思っていたけど、思ったよりチョコ寄りだった。カウンターでみんなが飲んですぐに去っていく、イタリアのカフェのスタイルはそこまで好みではないけど、とびきり美味しいのみものを身体になじませて晴天の街に出ていくのは結構いい気持ちだった。

むかし有楽町で働いていたので、銀座エリアの地理はそこそこわかるけれど、記憶の中にある銀座は結局会社の地下のドトールと、銀座ファイブのはなまるうどん、銀座インズのサイゼリヤで、それ以外のあらゆるものはよくわからない。飲み会でコリドーとかにもいった気がするけど、結局覚えているのは経費で行ったすしざんまいとキリンシティである。銀座にいると、自分の属するところがどこにもなくて、幽霊になった気持ちになる。ふわふわしすぎて、ガラスのショーウィンドウに身体をかすめてひやっとした。

そのあとはもっと歩ける気分になって、最寄りで降りて地図を見ずに歩いた。知らない豪邸とか、知らない小学校とかをみて、迷子になりつつ図書館に着いた。新聞歌壇を一応見て、延滞してる本をカバンから出してちょっと読んで、また戻して、家に帰った。