リスクがあるリスクがあるリスク

イギリスに来てから生理をなくしてみています。お正月を最後にもう4ヶ月。

というか、なくすというのが選択肢にあるとは思ってなかった。

私はcombined pillという、いわゆる普通のピル(エストロゲンプロゲステロンが混合されているのでcombined)を、休薬なしで飲んでいる。この休薬無しで飲むやり方はcontinuous use? と言うらしく、オンラインの医者が言うには特にリスクはないらしい。副作用としては、不正出血の可能性があると言われているがまだ経験してない。

日本の婦人科のサイトを見ると、だいたいだめって書いてある。ピルの研究結果は割と国によって違うようで、リスクの捉え方も異なっている。そこに各人の思想が絡んでいるから、どう意思決定するかはなかなか難しい。

最近悩ましいのが、ピルと乳がんリスクの関連性である。日本の婦人科にかかったときは、乳がんリスクの上昇はかなり小さい相関で、検査をしっかりすれば大丈夫、みたいな説明をされた記憶がある。ただ、イギリスで処方されるときはかなり仰々しく乳がんリスクについての説明があり、「リスクを受け入れます」とチェックをしなくてはいけない。これが毎回結構消耗する。

私は母が若年性乳がんだったので、遺伝性がんのリスクが高い可能性がある(リスクのリスクってなんだ???)。家族性がんの遺伝子を持つひとはピルをやめたほうがいいというのはわりとどこでも一致している話みたいだ。このリスクのリスクを想定した上でピルをやめて、出血する身体と生理痛とPMSをこの後の人生で受け入れ続けるのか。もしくは10万とか払って遺伝子検査をして、安心する、ないしは遺伝子があることを知って更に乳腺切除とかするのか。

そんなんでリスクが無いってわかってもがんになるかもしれないのにね。でもなったときにあの時ピルやめてたらな...って思うんだろうか。ほんとはミニピルにしてエストロゲンを取らないようにしたほうがいいんだろうけど、でもミニピルと乳がんの相関がないのは単に研究が進んでないだけで、本当はあるかもしれない。ミレーナも相関あるらしい。

一度生理がない身体を数ヶ月やってしまうと、結構後戻りできない感覚がある。自分の女性としての身体を認識しなくなってらくちーんというか。まあ普通に体調もよいし。(過食を生理のせいにすることはできなくなったが)この身体になると、今までフェムテックとかのプロダクト色々試して楽!!って思ってたけど、そもそも生理を減らす/なくす選択肢があるってことを教えてほしかったよ、って思ってしまう。

今学期身体論をやっているので色々自分の身体の認識について振り返ったりする。がんの話に戻るが、もし家族性がんのリスクがあると診断された場合、乳腺切除をやるだろうか。胸がなくなったら結構清々しいんじゃない、って思う反面、やっぱり20年以上付き合ってきた身体だから、なんかその一部がなくなったらウーってなるんだろうか。そんなに大きくないので、服装によってまったくないみたいにすることもできるし、あるみたいにすることができるのを結構気に入っているかもしれないし。

こうやって色々可能性の可能性みたいなことをずっと考えていても、ほっておいたら私の身体は毎月出血してしまうし、その生きづらさはその膨大な可能性の枝分かれよりもケアされるべきものなのかな、って今は結論づけている。